隠し部屋

感情を抱えていたら詩になった

小さいスプーン

小さいスプーンでこの世界を
かき混ぜよう 小さい町を
私ではないものを見る目を
撃ち墜とそう 不可思議な夢を

いつの間に高い場所で
いつの間にわたしの上に
使えもしない正論
傍観者は言わないで
溺れる人を見て
手を叩く それでも
ありがとうを口にする
夜が壊れていく

空想と一人遊びしている
君だけの時間 バカらしい
知らずに言われたくない
悲しくて 笑いたくない

いつの間に広い場所に
いつの日か遠い場所に
求めているのは
生温い夜
求めていないものを
差し出さなかった
透明な森に佇む
わたしの影

お伽話で昔に知っていた
愛の行く末 わかっていたけど
願わずに生きられるほど
甘い暮らしではなくて

恋ですらないものを混ぜる
小さいスプーンは錆びた
銀が涙を避けて歩く
こころ一つ抱えている

温かいコーヒーを
暖める身体を
欲しがったりしない
見つけたいから

死の傍の世界
君のいない世界で