隠し部屋

感情を抱えていたら詩になった

廻る時計

皿を割る スパゲッティを作った記憶とともに 暮らしを裂いていく だって 嘘をついただって 幸せになると教室で並べられた 約束の明日は呆気ないほどに嘘だった 壁を剥がす 小さい頃に親しんだ暮らしを切りつけて 戯れに生きる だって バカみたい居場所も見え…

愛想笑い

沈みこむよ 歌なんて消えた愛想笑い 欲望だって冷えた 日陰でずっと考えてみたって自由の存在を知っていたって日向で大きな声を出すあの人に負けるだけ だからせめて口を閉じてよ喉を詰まらせて昨日の愛を探してよもう此処には何もないわ連れ去ってしまった…

星粒と雨

星粒と雨が降っている道路を照らして私たちを見下ろして雨粒と星が降っている はね返る水溜りはまるで未来のよう止まない雨はない?そう信じられなくて 意識のあるうちは永遠の長雨だってあるよね 星屑と夜が降ってくる純情をわらって私たちを蹴落として夜霧…

十の月

白い胸をさらけ出して嘘で固めた十の月 無知な声をいたぶって夜に行進 十の年 月明り 幅を間違えて躓いた 樹木の影見つめない その横顔話したくないもの 白い夜は色めき立って耳を塞いだ十の年 月語り 星たちが見てる結びつけて 花ふる里私たちの背中がのび…

小さいスプーン

小さいスプーンでこの世界をかき混ぜよう 小さい町を私ではないものを見る目を撃ち墜とそう 不可思議な夢を いつの間に高い場所でいつの間にわたしの上に使えもしない正論傍観者は言わないで溺れる人を見て手を叩く それでもありがとうを口にする夜が壊れて…

赤く晴れた空

赤く晴れた空は急ぎすぎていた通り過ぎていった人たちの祈り 青く曇る顔は焦りすぎていた世界が終わると聴いてしまったから 忘れ物を探す通行人は下ばかりを見て上に従う 少しずつ足が離れる眩暈にやられて品のない声なのに歓迎する 浴びて欲望を捨てて大志…

夜景

あなたの後ろに山高帽わたしの後ろにハイヒール 交わしたグラスの中は空 外を眺めて綺麗な星と夜景を見つけて舌つづみ約束と知を積み上げて誤魔化してきた始めの理由 見つめてない顔 声 仕草お互いに そう生きている すべてに色と形がついて失われていく 街…

邪魔

ねえバカにしてよ ちゃんと捕まえることも出来ないならそこに一人で立っていてよ歩く時の邪魔だから そう言ってないよね きちんと重心をかけることも出来ないなら黙って一人で遊んでてよ声をかけられても困るから 黙って一人で遊んでてよ大好きな自分と永遠…

波紋

雫が落ちて 波紋が広がる泪が堕ちて 憎悪と変わる始まりは愛と呼んでいたけど空っぽを平気で語るから 賛美の声に 恨みが燃える氷となって 胸に広がる初めては心を揺さぶったけど狂っていくのは容易いから 今日も歓ぶ 世界の果ては渦を巡って 秘密を告げる殻…

向かい合う 影と巡り会う半身の記憶が混ざっていく 光刺す 影に人がいる離れてしまえばよかったのに 仮初めの誓い 無邪気な声で未来を見たのだろうそうやってつくられた 惹かれ合う 筋書きのようどちらかはきっと壊れていく 釘をさす 今も向かい合うそろそろ…

お伽話

外で何かが鳴いているよ家で誰かが泣いているよあの時のお母さんは元気かな知らない世界のお伽話 不思議な水音が聴こえるよあの人の身体からかな不自然な水音が聴こえるよどうしようもない世界 突き落としたのは貴方だよ本当は私なのかなゆっくりと重みを失…

暴力の指

遍く世界に存在している首を絞めようとする指見えない手でわたしたちを縛りつけようとする者 背後に立っていても声を出したらダメ凛とした視線を遠くへ弱さもすべて込みで 髪を切りましょう服も裂いて血飛沫が見えたって気にしないねじ伏せられるわけにいか…

檻の中

平気なフリをしてずっと笑ってたの嘘も続ければ真実になるかもなんてお行儀のいい獲物として生きたの朝に餌になるかもしれないから 檻に入れられる人を眺めていた自ら閉じ込められる人も眺めていた声色はやさしいのだけど何かおかしいの夜になってもあまりに…

よろめいた小鳥

見つけたよ可愛い小鳥 翼は折れて羽ばたくな可愛い小鳥 血が滴る 陽の光に少しだけ揺らめく茶色の羽根は幻を行き来する餌を撒いたのは貴方ねこの場所を忘れたりはしないわ 見つけるな扉を よろめいた小鳥閉めてくれ扉を 手のひらの小鳥 このロープは 誰のも…

嘘つき

もう二度と 奪われたくない 心惹かれてたんだ 本当さ傷つけるつもりなんてないアイシテルと 言えないけど大切に想っている どうして泣くの今日も一人で夢を見てるんだね此処においでよ 犇めく夜空の流れ星はこの天井の向こうで明日には掴めるはず甘い怠い 詠…

熱をもった肌

色が移り変わる糸屑細胞そして羽模様閉じるしかない瞼の背後で波を乱す 涙を浮かす夜も更けて数えたやさしさの粒天井の模様だけを少し憶えている 重みは愛か暴力かみんなは好きに語って腫れ上がっている頬が心を腐らせていく 鎖は自ら嵌めるもの被害者なんて…

返り血

死の追いかけっこほら食い潰し返り血に染まるまで 耐えてごらんその小さな躰を 無数の針で傷つけて 切れない手首縋りつく衝動狂いだすまであと何時間何分? そんなことはない弱々しく吐いた言葉は虚しくも空気に消えていく 守りたいものを指折り数えて箱舟に…

帰路

尽き果てて木陰に旅立ちに思い馳せてはじめましてと寝床での空想 未知を溜めこんで歩き出す新緑のおやすみなさいまだ見ぬ世界 いつでも休んで好きに帰ろうさよならまたね愛しい足跡

神様

寒くはないはずなんだ神様がそうやって言ったから愛に包まれて育ったの寒くはないはずなんだ 鳥肌が何故かたっているいつもわからない話ばかり誰かの心に染まってみたら鳥肌が何故かたっている 何となく少し怖いんだやさしい人の奥に光るもの救いと呼ばれた…

月の祈り

月明かりの下で踊り子と終りの音が鳴らされているはち切れる歪みがついに召される日がやってきた 言葉をつかえるけどあなたには話さない甘い匂いに咽せて呼吸も苦しいのに 存在はいつも欠けていて森の約束をわたしは守れない示唆してくれたものたちに心は震…

午睡と空想

眠りに凭れかかる日曜の昼下がり力なく笑うだけ侮蔑される午睡 遠くの少女の口もとが小さく揺れている歩くための脚が千切れそう 麻痺させている心知らないに押しやる逃げか災いか決めても変わらない 慣れた部屋に座る空気から音がして想像が駆け巡る要らない…

淡緑

淡緑に染みがついてやわらかさと憎しみが小さく行き来する悲しみの窓 聞こえない音で旋律をあわせてその向こうに耳を響かせるように 沈黙で踏まれても今は生きているからひとつ放して小道に帰る 静かな朝を迎えてまた終わらない夜が来るその日まで。

硝子の月

梟に見つけられたら動けない満月が迫る夜に心臓が痛めつけられる 砂塵が飛んでいる射るような瞳たとえ刺し違えても終りにしなくては 破滅を予感する風に気づかないで幸せと勘違い 壺に溜まっていた憎しみと悲しさの賭けが始まる 恨みは触手となって貴方を襲…

溺史

見えない約束で雁字搦め大切にするほどに溺れていく 美しさは朽ちたのに残滓に魅せられて縋るように心を開く やがて邪な声が静かに襲いくる つながらない夜に空が燃えて 信じていた世界見返りの冷たさは深く記憶されて側にいられない 心の奥を 覗いてほしく…

紫とオレンジ

覆い被さるような紫の雲がオレンジと溶け合って太陽が海に落ちた孤独で深い夜が始まる 灯りが仄かに浮かばせる街路樹は正体を隠してただの影として映る造られた色には辟易 風には記憶が宿って徐々に潜り込んでいく枯れて散っていく季節は忘れたものを呼び覚…

青と橙

流れていく空と森の歌声に耳を傾けながら冷たくなった風を浴びて突き抜けるように青を駆け抜けあの町へ 陽はやわらかく町を立ち向かう心のよわい昼下がりの声をみても雲は流れている頬を染めて橙に 空が沈んでいく少しずつ薄くなり青と橙が静かに闇に溶けて…

夜に彷徨う

彷徨ったマチワタシを狂わせた幾千の星やさしさは死んだ 意識は永久にアナタに差しだしてわたし眠りたいもう疲れたの え、あなたの方がツライ? 飛びかけたアタマに浸透する仕草平気な顔でわたしを壊すイマを笑顔でクラシテイルノ?ダレが赦すの? 穴が空い…

夏の夢

熾火の橙ではなくとも光はやさしく寝息が風に流れてわたしを包んでいる 太陽の汗がやさしい空に続く道は穏やかな夜をつくるそのための付箋 生温い夏の空気が小さきものを抱き朝が迎えに来て瞼を開ける時に わたしは此処を去る残るのは夏の夢存在しなくても守…

憎むべき手脚

蹌踉いた脚を憎み縺れた舌は切りおとす身体は動かない肉の記憶の果て それぞれが意思を持ち柔らかく蠢いて私を操るから視線は逸らしていて 鏡に映ったあなたの顔は幻と影を呼びさまし心に喰いこんで見てはならないもの差し出してしまう あなたは悪くない狂っ…

透明な時代

何も知らないままに歩いて行きたい透明な日々の中で息をしていた時代 怯えは可愛らしくあなたに顔はなく私に夢はない白に溶ける未来 繋がりを示して幻が幾夜と続き痛みを引きうけた脚は走ることを求め 灰色の街は淡く立ち止まるまでやさしく視線を遮っていた…