隠し部屋

感情を抱えていたら詩になった

心象風景

十の月

白い胸をさらけ出して嘘で固めた十の月 無知な声をいたぶって夜に行進 十の年 月明り 幅を間違えて躓いた 樹木の影見つめない その横顔話したくないもの 白い夜は色めき立って耳を塞いだ十の年 月語り 星たちが見てる結びつけて 花ふる里私たちの背中がのび…

帰路

尽き果てて木陰に旅立ちに思い馳せてはじめましてと寝床での空想 未知を溜めこんで歩き出す新緑のおやすみなさいまだ見ぬ世界 いつでも休んで好きに帰ろうさよならまたね愛しい足跡

淡緑

淡緑に染みがついてやわらかさと憎しみが小さく行き来する悲しみの窓 聞こえない音で旋律をあわせてその向こうに耳を響かせるように 沈黙で踏まれても今は生きているからひとつ放して小道に帰る 静かな朝を迎えてまた終わらない夜が来るその日まで。

紫とオレンジ

覆い被さるような紫の雲がオレンジと溶け合って太陽が海に落ちた孤独で深い夜が始まる 灯りが仄かに浮かばせる街路樹は正体を隠してただの影として映る造られた色には辟易 風には記憶が宿って徐々に潜り込んでいく枯れて散っていく季節は忘れたものを呼び覚…

青と橙

流れていく空と森の歌声に耳を傾けながら冷たくなった風を浴びて突き抜けるように青を駆け抜けあの町へ 陽はやわらかく町を立ち向かう心のよわい昼下がりの声をみても雲は流れている頬を染めて橙に 空が沈んでいく少しずつ薄くなり青と橙が静かに闇に溶けて…

夏の夢

熾火の橙ではなくとも光はやさしく寝息が風に流れてわたしを包んでいる 太陽の汗がやさしい空に続く道は穏やかな夜をつくるそのための付箋 生温い夏の空気が小さきものを抱き朝が迎えに来て瞼を開ける時に わたしは此処を去る残るのは夏の夢存在しなくても守…

透明な時代

何も知らないままに歩いて行きたい透明な日々の中で息をしていた時代 怯えは可愛らしくあなたに顔はなく私に夢はない白に溶ける未来 繋がりを示して幻が幾夜と続き痛みを引きうけた脚は走ることを求め 灰色の街は淡く立ち止まるまでやさしく視線を遮っていた…