隠し部屋

感情を抱えていたら詩になった

物語

お伽話

外で何かが鳴いているよ家で誰かが泣いているよあの時のお母さんは元気かな知らない世界のお伽話 不思議な水音が聴こえるよあの人の身体からかな不自然な水音が聴こえるよどうしようもない世界 突き落としたのは貴方だよ本当は私なのかなゆっくりと重みを失…

よろめいた小鳥

見つけたよ可愛い小鳥 翼は折れて羽ばたくな可愛い小鳥 血が滴る 陽の光に少しだけ揺らめく茶色の羽根は幻を行き来する餌を撒いたのは貴方ねこの場所を忘れたりはしないわ 見つけるな扉を よろめいた小鳥閉めてくれ扉を 手のひらの小鳥 このロープは 誰のも…

神様

寒くはないはずなんだ神様がそうやって言ったから愛に包まれて育ったの寒くはないはずなんだ 鳥肌が何故かたっているいつもわからない話ばかり誰かの心に染まってみたら鳥肌が何故かたっている 何となく少し怖いんだやさしい人の奥に光るもの救いと呼ばれた…

月の祈り

月明かりの下で踊り子と終りの音が鳴らされているはち切れる歪みがついに召される日がやってきた 言葉をつかえるけどあなたには話さない甘い匂いに咽せて呼吸も苦しいのに 存在はいつも欠けていて森の約束をわたしは守れない示唆してくれたものたちに心は震…

午睡と空想

眠りに凭れかかる日曜の昼下がり力なく笑うだけ侮蔑される午睡 遠くの少女の口もとが小さく揺れている歩くための脚が千切れそう 麻痺させている心知らないに押しやる逃げか災いか決めても変わらない 慣れた部屋に座る空気から音がして想像が駆け巡る要らない…

硝子の月

梟に見つけられたら動けない満月が迫る夜に心臓が痛めつけられる 砂塵が飛んでいる射るような瞳たとえ刺し違えても終りにしなくては 破滅を予感する風に気づかないで幸せと勘違い 壺に溜まっていた憎しみと悲しさの賭けが始まる 恨みは触手となって貴方を襲…

小鳥

風が草木を揺らして背中を丸める烏が静かに話しては耳を立てる 飛び立ちに歌声を晒して何も結び目をもたず切ったその時にすべてを知る 少し冷えてきた季節小鳥たちは眠る月夜に零れる世界を見ている

破片の歴史

歴史の破片をかき集めても綺麗な硝子は作れない あなたの祈りを泪としても隠した鎖はいつでも傍に 穢れた願いに耳を傾け抉れた痛みの旋律響く不協和音に安らぎ憶え静かに静かに沈んでく 何も見ないで奏をかして孵して産まれた美しい吹き抜ける風は甘さに満ち…