隠し部屋

感情を抱えていたら詩になった

硝子の月

梟に見つけられたら
動けない
満月が迫る夜に
心臓が痛めつけられる

砂塵が飛んでいる
射るような瞳
たとえ刺し違えても
終りにしなくては

破滅を予感する風に
気づかないで
幸せと勘違い

壺に溜まっていた
憎しみと悲しさの
賭けが始まる

恨みは触手となって
貴方を襲う
わたしも壊れていく
歪んだものの結末

赦しの音を鳴らしても
間に合わない
邪になれない心は
暴力に溺れている

夜が騒ぎ出して
紅にまみれていく

救いは一つだけ
でも見つけないで

扉は開けられることなく
真実は綴らない

次の町では
屍になる前に
走り出したい

忌まわしいだけでは
なかったけど
耐え難いほどに
悍ましかった

八つ裂きにして
偽りの命を
作られた物語に
操られるのは
危うすぎる

月と太陽が入れ替わると
宿命の刃を向けた
放り込んだ心は
焼け焦げて

弔いを求める

本当は
一人では
生きられない

もう何も
受け容れられない
硝子の器

朝陽に見つかるまでに
闇を抑え込んだまま
眠りにつく

好きでいたかったよ。