隠し部屋

感情を抱えていたら詩になった

水溜まり

水溜まりに映る顔は
わたしに見えなくて
太い指が近付いて
首元を掴んだ

朦朧とした景色で
呼吸を失っているうちに
流れはすべて穢れて
想い出した日々にはもう
誰も残っていない

薄れた意識にはあの人が優しく見えた
形があれば何でもよかった
海の向こうの声は正しく見えた
私は全身で汚れを吸った
気づいた時にはもう
涙も忘れてしまって
溜まりに溜まった憎しみははち切れて
帆はすり替えられた

髪の毛先からその足の爪まで
うごめく罪がある 一つ 二つ
数える指は足りなくなって
最期の雨が降る

胸を触られて 胸の奥にあるものを抉られて
本当に欲しいものは 違う と吐いた
草でつくった飾り物 花の香り
いつも捨てられてばかり
わたしじゃないよ
わたしじゃないよ
何度も叫んだのに。

撫でられる 気だるい吐息で
あなたは愛と語って
小さなものを触った その手を
あなたは愛している

信 じ ら れ な い

本当は 本当は ダメなのにダメなのに
そんな汚い手で何かを触るなんて
罪なのに 罪なのに
貴方は平気で嗤う
自分の悲しみを舐める
わたしの肌は崩れてる
もう死んでしまいたい。

全身を震わせて 嗚咽を抑えながら
わたしは穢れを出していく
出しても出しても
ラクになれない
もう死んでしまいたい

呼吸が狂い 言葉が途切れた
その時を狙って、

私は死んでしまいたい。