隠し部屋

感情を抱えていたら詩になった

残像

頰をなぞる生温かい手は
分厚くて少し汚く見えた

無抵抗に座り込んだ
うまく思い出すことの
出来ない夜とコール音が
見えない場所で弛まず
心臓を束縛している

脚が重かったから
触られた痛みだとしても
輪郭がやさしく見えて
悲しみを呑んで
今も吐き出せない
小さな躰と
捨てられた愛に
とても耐えきれない

救われることすらない
希望も諦めもなく
ひたすらに沈んで穢れて
入る風景は
気を狂わせる
あなたの声さえも
遠く歪んでしまう

幻想に滲んで溶けて
ループした
枕から離れないで
きちんと重石をした
約束を数えてる
指を折って
触られてないのだから
忘れろ
忘れろよ
繋がるのは苦しい
泳いで辿り着きたい
あの島は拒んでいる
切り離したい
棄て去ったものが
手招きしている
楽園はない

首元の冷たい指を
どうやって忘れるの
生きていればいい?
生きていけばいい?
搔き切る喉を
走るだけの脚を
川に飛び込んで
何を守ればいい?
羽根を毟り取って
ぬるま湯に浮いた脂に
綺麗事のストーリー
目を瞑るなら
死ねばいい

昨日の言葉を忘れて
正義をくれた
流れる音は頭を
締めつける
勘違いしないで
石をぶつけては
表情を歪ませて
すべてに波紋が広がり
殺していく
殺して欲しい

終りが欲しい
残像をさらって
それも叶わないなら
唇を閉じて
嘲らないでほしい
繰り返す繰り返すよ
笑い声が聞こえるよ
道路が呼んでる
気の迷いは甘く囁いて
眠れない夜の想像は狂う

喰われる音を
かき出せない
圧されても
動く鼓動がない

さよなら
さよなら

ありがとう
さよなら